メールの下書きを、名乗る立場ごとに使い分けて用意する
- 領域
- バックオフィス
- 実行頻度
- 都度
メールの下書きをAIに任せるときに、実際にやってみて分かった注意点をそのまま仕組みにした事例です。文章の巧拙より、「誰として書いているか」を間違えないことのほうが重要でした。
課題
複数の会社・事業に関わっていると、1人の人間が案件ごとに違う立場で名乗ります。
- 自社の代表として書く場合 … 「弊社」と書ける。会社名・役職・住所・電話を載せる
- 他社の役員として書く場合 … その会社名と役職で名乗る。自社の情報は載せない
- 個人として書く場合 … 会社名を出さない
ここを間違えると、単なる書式の誤りでは済みません。どの会社の看板で発言したことになるかが変わります。取引先から見れば「話が違う」ことになりかねません。
さらに、AIにメールを任せることへの不安がもう1つありました。意図せず送信されることです。下書きのつもりで頼んだものが送られてしまえば、取り返しがつきません。
やったこと
1. 書き始める前に、立場を確定させる
下書きを作る手順の先頭に「名乗る立場を確認する」を入れました。相手と用件だけ渡されて立場が分からないときは、文章を書き始めずに聞き返します。
立場が決まると、使う署名も自動的に決まります。署名は立場ごとに文面を固定して手順書に書いてあるので、そのまま貼るだけです。載せてよい連絡先と、載せない連絡先も立場ごとに決めてあります。
2. 元のやり取りを読んでから書く
返信の下書きは、必ず元のスレッドを読んでから作ります。件名は変えません(返信であることが相手に分かるようにするため)。前回の依頼に答えていない返信ほど、相手の手間を増やすものはありません。
3. 機密は、下書きの段階から書かない
顧客名・金額・個人情報は、外に出る文面には書かない決まりにしています。下書きだから後で消せばよい、にはしません。下書きが下書きのまま転送されることがあるからです。
4. 送信の権限は、そもそも渡していない
いちばん効いているのはここです。「送らないように気をつける」ではなく、メールを送る権限自体を接続時に取っていません。読むことと下書きを作ることはできますが、送信の機能が手元に存在しません。
この形にすると「間違って送った」が起こりようがありません。判断ミスの余地を、設定の段階で消しています。
成果
- 肩書・署名の取り違えが起きなくなった。立場が決まらないうちは書き始めないためです
- 誤送信が構造的に不可能になった。送信は必ず人が自分の手で行います
- 着手が速くなった。白紙ではなく、直せる文面から始まります
横に展開するときのポイント
- 「誰として書くか」を手順の先頭に置く。文体の指示より先です。ここが決まると残りは自動的に決まります
- 署名・宛名・敬称は、パターンとして固定して書き出しておく。毎回考えさせると、毎回ゆれます
- 外に出るものは人が押す、を境界にする。社内の作業をどれだけ自動化しても、この一線を守ればリスクは大きく変わりません
- 禁止ではなく、権限で止める。「送らないでください」と書くより、送る機能を持たせないほうが確実です